スマートフォンの月々の料金を節約できる格安SIM。魅力的な低価格で注目を集めていますが、その一方でいくつかのデメリットも存在します。このブログポストでは、格安SIM初心者の方に向けて、7つの主要なデメリットとその対策方法を詳しく解説します。
格安SIMの基本情報おさらい
格安SIMとは、大手携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)以外の通信会社が提供する、比較的安価な料金プランのSIMカードのことです。
SIMカードって何?
Subscriber Identity Moduleの略で、携帯電話の契約者情報を記録した小さなICカードです。スマートフォンに挿入して使用します。
格安SIMを提供する会社は「MVNO(エムブイエヌオー)」と呼ばれます。
MVNOって何?
Mobile Virtual Network Operatorの略で、仮想移動体通信事業者のことです。大手キャリアの回線を借りてサービスを提供しています。
格安SIMは本当に安いの?
はい、多くの場合、大手キャリアと比べて月々の料金が半額以下になることもあります。ただし、サービス内容や使い方によっては、必ずしも安くならない場合もあるので注意が必要です。
それでは、格安SIMの7つのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
デメリット1:通信速度の低下
格安SIMの最も顕著なデメリットの一つが、通信速度の低下です。
なぜ速度が遅くなるのか?
- 回線の借り受け: MVNOは大手キャリアから回線を借りているため、優先度が低くなります。
- 帯域制限: コスト削減のため、使用できる通信帯域が制限されていることがあります。
- 混雑時の影響: ピーク時には特に速度低下が顕著になります。
具体的な影響
- Web閲覧やSNSの読み込みに時間がかかる
- 動画視聴時にバッファリングが頻繁に発生する
- オンラインゲームのレスポンスが悪くなる
例えば、5MBの画像をダウンロードする場合:
- 10Mbpsの速度: 約4秒
- 3Mbpsの速度: 約13秒
- 1Mbpsの速度: 約40秒
このように、日常的な使用においても体感できる差が生じます。
どのくらいの速度があれば問題ない?
一般的に3Mbps以上あれば、基本的なWeb閲覧やSNSの利用には問題ありません。ただし、動画視聴やオンラインゲームなどには、より高速な通信が必要になる場合があります。
対策
- オフピーク時の利用を心がける
- Wi-Fiの積極的な活用
- 速度制限のないプランの選択(ただし割高になる可能性あり)
デメリット2:サポート体制の弱さ
格安SIMは、コスト削減のためにサポート体制を簡素化していることが多く、これが大きなデメリットとなる場合があります。
サポート体制の弱さの具体例
- 実店舗の少なさ: 対面でのサポートを受けにくい
- 電話サポートの制限: 受付時間が短い、または電話サポートがない
- 対応の遅さ: メールやチャットでの問い合わせに時間がかかる
例えば、大手キャリアでは全国に数千店舗の実店舗があるのに対し、多くの格安SIM業者は実店舗を持たないか、あっても数店舗程度です。
サポートが弱いと、どんな不便があるの?
急なトラブル時に即座に対応してもらえない、技術的な問題の解決に時間がかかる、契約変更や解約手続きが煩雑になる可能性があります。特に、スマートフォンの設定に不慣れな方にとっては大きな障壁となる可能性があります。
対策
- 自己解決能力を高める(FAQやコミュニティフォーラムの活用)
- サポート体制の充実した格安SIM業者を選ぶ
- 重要な用途には大手キャリアの回線を併用する
デメリット3:端末の選択肢が少ない
格安SIMは、端末の選択肢が大手キャリアと比べて限られていることがあります。
端末選択の制限理由
- 取り扱い端末の少なさ: 多くの格安SIM業者は端末販売に注力していない
- 最新機種の入手困難: 人気の最新スマートフォンが入手しづらい
- SIMロック: 一部の端末がSIMロックされており、使用できない場合がある
SIMロックって何?
特定の通信事業者のSIMカードしか使用できないよう、端末に施される制限のことです。
例えば、iPhoneの最新モデルは、発売直後は大手キャリアでしか取り扱っていないことが多く、格安SIMで使用するには、SIMフリー版を別途購入するか、大手キャリアで購入した端末のSIMロックを解除する必要があります。
自分の持っている端末は格安SIMで使えるの?
多くの場合、SIMロックが解除されていれば使用可能です。ただし、端末の対応周波数帯と格安SIMの使用する周波数帯が合致している必要があります。事前に確認することをおすすめします。
対策
- SIMフリー端末の購入
- 大手キャリアで購入した端末のSIMロック解除
- 格安SIMと端末のセット販売を行っている業者の利用
デメリット4:契約の複雑さ
格安SIMの契約は、大手キャリアと比べて複雑な場合があります。
契約の複雑さの要因
- プランの多様性: データ容量や通話オプションなど、選択肢が多い
- 初期設定の必要性: APN設定など、技術的な初期設定が必要
- MNP手続きの煩雑さ: 番号ポータビリティを利用する場合の手続きが複雑
APNって何?
Access Point Nameの略で、モバイルデータ通信の接続先を指定する設定のことです。
例えば、ある格安SIM業者では、データ容量だけでも1GB、3GB、5GB、10GB、20GBなど多数のプランがあり、さらに通話オプションや追加サービスなども選択する必要があります。また、契約後にはAPN設定を自分で行う必要があり、設定方法がわからず通信できないというトラブルも少なくありません。
契約の複雑さは初心者にとって大きな障壁になる?
はい、特にスマートフォンやインターネットサービスに不慣れな方にとっては大きな障壁となる可能性があります。ただし、多くの格安SIM業者は初期設定のサポートを提供しているので、それを利用するのも一つの方法です。
対策
- 事前に十分な情報収集を行う
- 初期設定サポートのある格安SIM業者を選ぶ
- 必要に応じて、ショップでの対面サポートを利用する
デメリット5:追加料金の可能性
格安SIMは基本料金が安い反面、想定外の追加料金が発生するリスクがあります。
追加料金が発生する主な場合
- データ容量の超過: 契約容量を超えた場合の追加料金
- 通話料金: 従量制の場合、想定以上の通話で料金が膨らむ
- SMS利用料: SMSを利用する場合の追加料金
- 事務手数料: 契約時や変更時の手数料
例えば、月間のデータ容量が3GBのプランを契約している場合、4GB使用すると追加で1GB分の料金がかかります。また、5分以内の通話が無料のプランで6分間通話すると、追加で1分間の通話料金が発生します。
追加料金を避けるにはどうすればいい?
自分の利用パターンに合ったプランを選ぶことが重要です。データ使用量や通話時間を定期的にチェックし、必要に応じてプランを変更することをおすすめします。
対策
- 利用状況に合わせた適切なプラン選択
- データ使用量の定期的なチェック
- 通話やSMSの利用頻度を考慮したプラン選び
- 各種手数料の事前確認
デメリット6:通信の安定性
格安SIMは、大手キャリアと比べて通信の安定性が劣る場合があります。
安定性が低下する要因
- 回線の優先度: 大手キャリアの回線を借りているため、混雑時に不利
- 基地局の数: 独自の基地局を持たないため、カバーエリアに制限
- 技術的な問題: MVNOの技術力や設備の違いによる影響
例えば、大規模なイベント会場や混雑した駅周辺では、大手キャリアの回線は比較的安定しているのに対し、格安SIMでは通信が途切れたり、極端に遅くなったりすることがあります。
通信の安定性は地域によって違うの?
はい、都市部では比較的安定していますが、地方や山間部では不安定になる可能性が高くなります。また、同じ地域でも、時間帯や天候によって安定性が変わることもあります。
対策
- 利用エリアでの通信品質を事前に確認
- 複数のMVNOを試す(無料お試し期間の活用)
- 重要な用途には大手キャリアの回線を併用
デメリット7:サービスの継続性
格安SIM業界は競争が激しく、サービスの継続性に不安がある場合があります。
サービス継続性の不安要素
- 企業の経営状況: 赤字経営や撤退のリスク
- 頻繁なプラン変更: サービス内容や料金プランの突然の変更
- M&A: 企業の買収や合併による影響
例えば、過去には突然のサービス終了や、大幅な料金プラン改定により多くのユーザーが影響を受けたケースがありました。また、MVNOの買収や合併により、サービス内容や品質が変わるということも珍しくありません。
サービスが突然終了したらどうなるの?
通常は一定の猶予期間が設けられ、その間に他の事業者に乗り換える必要があります。ただし、急な変更を強いられる可能性もあるので、常に代替案を考えておくことが重要です。
対策
- 大手企業が運営するMVNOの選択
- 契約更新時のプラン内容の確認
- 複数のSIMカードの併用(リスク分散)
デメリットへの対策方法
これまで見てきた7つのデメリットに対する総合的な対策方法をまとめます:
- 十分な事前調査:
- 複数の格安SIM業者を比較
- 利用予定エリアでの通信品質を確認
- ユーザーレビューやクチコミの確認
- 適切なプラン選択:
- 自分の利用パターンに合ったデータ容量の選択
- 通話やSMSの利用頻度を考慮
- 将来的な利用変化も予測
- 技術的な準備:
- SIMフリー端末の購入または既存端末のSIMロック解除
- APN設定など、初期設定の事前学習
- トラブルシューティングの基本を理解
- 利用状況の管理:
- データ使用量の定期的なチェック
- 追加料金の発生要因を把握
- Wi-Fiの積極的な活用
- サポートの活用:
- FAQやコミュニティフォーラムの利用
- 初期設定サポートの利用
- 必要に応じて、対面サポートの活用
まとめ
格安SIMには確かにデメリットがありますが、それらを理解し適切に対策を講じることで、多くの人にとって魅力的な選択肢となり得ます。
最終的には、自分のライフスタイルや優先順位、技術的なスキルを考慮して判断することが重要です。格安SIMのデメリットを理解した上で、そのリスクを受け入れられるかどうかが鍵となります。格安SIMは、適切に選択し管理すれば、通信コストを大幅に削減できる優れた選択肢です。賢明な選択で、快適でコスト効率の良いモバイルライフを楽しみましょう!